桐箪笥は防湿や防カビ等の機能性が高い桐を素材として作られた衣類を収納する家具です。
日本は湿度が高い為、古くから大切なものを保管する箱には桐が使われてきました。
桐箪笥の魅力
長期間使用しても変形が少ない
桐箪笥の具体的な特徴は何かというと、まず材質が均一であるという点です。
家具に使用される他の木材と比較しても、桐は伸縮やゆがみが発生しにくい為、長期間使用しても変形が少ないというのが魅力です。
軽量なので移動しやすい
また軽量であるというのも魅力の1つとして挙げられます。
桐の構造はスポンジに似ており、空気の層が多い為、軽量です。
その結果、持ち運びがしやすいというのもメリットです。
湿気を防ぎ、機密性が優れている
他にも湿気を防ぎ、機密性が高いというのも魅力です。
外気の質が高くなると膨張して、隙間を塞いでくれ、湿気が入ってくるのを防いでくれます。
逆に外気が乾燥しているときは,収縮して、湿気を発散して通気を良くしてくれます。
このように桐は湿度に敏感に反応する素材な為、内部の湿度を一定に保つ事が出来るのが大きな特徴です。
火災に強い
それから火災に強いというのも魅力です。
吸湿性の高さから、火災時に水をかけて水分を含ませれば、膨張して内部への熱伝導は少なくなり、火事が起きても外側が焼け焦げるだけで、中の着物が無事だったという話は良く聞きます。
防虫性に優れている
あと虫を寄せ付けないというのも大きな特徴として挙げられます。
桐には防虫効果のあるタンニン等の成分が含まれる為、害虫を寄せ付けにくいです。
この事から高温多湿の日本では,古くから大切な衣類の収納に使われてきました。
桐箪笥の有名な生産地はどこ?
では桐箪笥の有名な生産地は何箇所かあります。
新潟県 加茂
まず有名なのが新潟県 加茂の加茂桐箪笥です。
特徴
特徴は衣類を湿気や害虫から守り、さらに水害や火災にも強いという点です。
桐の板は,軽くて柔らかで、機密性も高い為、箪笥を作るには非常に適しています。
デザイン
また他にはない気品と温かみが人々をひきつけており、白く絹のような木肌と、くっきりと刻まれた美しい木目には凛とした存在感があります。
埼玉県 春日部
埼玉県 春日部の春日部桐箪笥も有名です。
特徴
特徴は木の直線を基調にしたシンプルなデザインで、部品の接合でも釘を使わず、木の感じをきちんと残す工夫がされている所です。
デザイン
その為美しい木目を活かした温かみのあるデザインが愛されています。
歴史
起源としては,江戸時代初期に日光東照宮を作る為に集まった職人が、宿場町である春日部に住み着いて小箱作りを始めた事が始まりです。
箪笥が作られ始めた当初は,農業の合間に行うという人が多く専業にしている人はあまり見受けられませんでしたが、江戸時代後期になると、川でつながる江戸への交通の便が良くなり、輸送に恵まれた事もあって、専業で作り始める人も多くなります。
さらに明治時代になると東京だけでなく大阪や広島、福岡等販路が拡大し、全国的に知られるようになりました。
参考サイト:https://www.kiritansu.biz/
愛知県 名古屋
名古屋桐箪笥。
愛知県 名古屋も生産地としては有名です。
特徴
名古屋桐箪笥の特徴は,他の地域と比べると20センチほど幅広に作られている事です。
デザイン
また金具に金や銀が施されており、さらに金箔画も描かれていたりして、非常に豪華な作りになっている事が多いです。
歴史
元々名古屋城築城に関わった職人が作り始めたのが起源とされており、当時徳川幕府が天下統一を成し遂げた後に、人々の生活が安定して衣服も高級品を求めるようになったことで、収納家具である箪笥も広がっていきました。
さらに名古屋では嫁入り道具として不可欠な一品でしたが、最近ではこうした風習もなくなりつつあり、職人の後継者不足も問題になっています。
大阪府 泉州
大阪泉州桐箪笥。
大阪府 泉州も有名な生産地という事で知られています。
元々箪笥は大阪で生まれたとも言われており、すでに江戸時代の中期には製造技術は確立されていました。
特徴
良質な桐を使う為、桐材が厚くて組手が多く、高度な技術を駆使して作られ、上品なつくりや仕上げが丁寧な所が大きな特徴で、数ある桐箪笥の中でも最高峰と称されています。
しかし高度な技術を駆使して作られる為、全国的に見ると生産量は少なく、その事から希少価値は高いです。
デザイン
重厚な雰囲気を持つ角を丸く削った型が多かったり、蒔絵や漆塗りを施す等特注品としての需要が多い産地でもあります。
和歌山県 紀州
和歌山県 紀州も桐箪笥の生産地という事で広く知られており、装飾性と耐久性を兼ね備えた品として高い評価を受けています。
特徴
特徴は古くから伝わる繊細な工法で組み立てられているとい事です。
歴史
起源ははっきりとわかっていませんが、江戸時代後期にはすでに製作技術があった事が分かっています。
明治時代に入ると交通網が整備されて、地元だけでなく大阪圏での需要にも応える事が出来るようになり、生産量は急速に増えていきます。
伝統的工芸品の桐箪笥は5府県のみ
このように基本的に、桐箪笥の産地として国が認めている所はこの5府県のみになります。
その他の生産地で作られたものももちろんありますが、あくまでこの5府県で製造された桐箪笥だけが、国に認められた伝統的工芸品ですので、購入を考えている場合は,混乱しないように注意が必要です。